数物フロンティア・リーディング大学院

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プログラムコーディネーターからのメッセージ


プログラムコーディネーター
儀我 美一

2012年のFMSP発足時よりコーディネーターを務められた河野俊丈教授が2016年4月より大学院数理科学研究科長に就任されたため、コーディネーターをお引き受けすることになりました。

本プログラムは、文部科学省「博士課程教育リーディングプログラム」事業によるもので、目的は、「優秀な学生を俯瞰力と独創力を備えて広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、産学官の枠を越えて博士前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開し、大学院教育を改革すること」です。

FMSPは2012年10月にオンリーワン型として「博士課程教育リーディングプログラム」に採択されました。開始から3年以上経過し、数学・数理科学における研究教育成果は顕著にあがってきております。したがいまして河野俊丈前コーディネーターの方針を引き継いでまいります。さらに、中間評価や様々な方面からの要請を踏まえ、コースワーク「社会数理先端科学」を強化することになりました。

経験や勘は大切な財産ですが、それだけでは複雑化する現代社会では産業として生き残ることは難しくなっているのではないでしょうか。多くの産業がソフトウェアを通して何らかの数学に基づいています。使っている機械や装置が古ければ更新しようと思う人は多いと思いますが、使われている数学が古くても、それを刷新しようとしている会社は少数なのが我が国の現状なのではないでしょうか。一方、欧米では基づいている数学を刷新しようとする考えが浸透している国は多く、大勢の数学研究者が産業界や官庁等で活躍しています。

コースワーク「社会数理先端科学」では、講義や、産業界や環境問題に現れる具体的課題について数学・数理科学の立場から取り組んでいくスタディグループをこれまで行ってきましたが、これを強化する他、社会数理コロキウムと社会数理実践研究という取り組みを新たに開始することになりました。これらは、最先端の数学・数理科学の訓練をうけ、理論を新たに構築し論文執筆できる力を持つFMSP生が、そこで培われた数学的思考力を用い、数理科学専攻、物理学専攻、地球惑星科学専攻、カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の特徴をいかして課題解決を図るとともに、異業種・異分野との交流の経験を重ねていかれることをねらっております。

我が国における諸分野や産官における先端的数学・数理科学導入の重要性認識と受入れ体制は、一部の先駆者を除き、欧米に比して総体的には出遅れて久しかったのですが、近年、数学・数理科学研究等の関係者らの努力もあり、その重要性が各方面で認識されてきました。これをより大きな潮流としていくことが必要な状況にあります。先端的数学・数理科学の成果や研究者との付き合い方については、社会一般から理解されにくいだけでなく、場合によっては他の理系研究者からも理解されにくい場面が多いのではないでしょうか。先端数学を取り巻く数理思考力や数学的センスというものの意義や価値の認識には、経験や素養、あるいは訓練が必要なのかもしれません。そのような状況下でリーダーシップをとり、我が国から良きものを発信していく礎となりうるバイタリティあふれる人材が育っていくことを心より願っております。

2016年7月
儀我 美一