数物フロンティア・リーディング大学院

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数理科学研究科長からのメッセージ


数理科学研究科長
河野 俊丈

数学とさまざまな科学はその発展の歴史において互いに強い影響を与え合ってきました。17世紀にニュートンとライプニッツによって展開された微積分学は、自然界における力学などの法則を記述する言語と方法を与えました。また、19世紀半ばの非ユークリッド幾何学の発見とガウスからリーマンにいたる研究の流れの中で創成された微分幾何学がアインシュタインの一般相対論の基礎となったことはよく知られています。

20世紀の半ばから、数学は抽象的な定式化が進み、それによってさまざまな分野に応用することができる汎用性が高まりました。現在、数学が有効に使われる分野は飛躍的に広がり、数学の諸科学への展開を見据えた、横断的な視点をもった人材が多くの分野で求められています。

数物フロンティアリーディング大学院(FMSP)は東京大学大学院数理科学研究科と理学系研究科物理学専攻、地球惑星科学専攻が連携し、 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)と協力して行うプログラムです。FMSPでは、理論物理などに代表される諸科学に広がりをもつ研究領域を開発し、それらに貢献しうる先端数学の理論を創成して、展開する次世代の数学研究のリーダーの養成をめざしています。また、幅広い視野をもって、産業界から提起された問題や、環境問題などについても寄与することができる人材を育成することを目的としています。

現在、数学と理論物理学の恊働により、従来の分野の枠を超えた新しい研究分野が次々と生まれつつあります。これらは、我々の描く宇宙像の根幹をゆるがすものになるかも知れません。このような恊働が、数学と理論物理学の双方に何をもたらすかは、まだ完全には解明されておらず、次世代にとっての大きなチャレンジとなることでしょう。また、環境問題においては、複雑なふるまいをする流体の解析が必要であり、このような分野に大きく貢献する数学の理論を開発することは、これからの研究における重要な課題です。産業分野における問題については、これまでに逆問題などの解析的手法が大きな成果を挙げてきましたが、さらに代数学、幾何学などをも含めた新しい数理的手法を創成することが求められています。

さまざまな領域における数学・数理科学に対する要請に貢献するためには、分野の枠を超えた、グローバルな視点をもつことが必要です。FMSPでは、このような観点から、従来の伝統的な分野の境界をとりはらって、横断的なコースワークとセミナー、チュートリアルワークショップなどのさまざまな活動を企画しています。また、FMSPコース生が、産業界から提起される問題にふれ、産業界の方々とともに問題を考えるさまざまな機会を設けます。

FMSPでは、海外の研究機関への長期派遣などによって、国際的な競争力の高い人材を養成することを目指しています。Kavli IPMUは、およそ半数が海外の研究者という国際的環境であり、Kavli IPMUにおける活動に参加し、研究者と議論を行うことは、FMSPコース生にとって、国際的な経験を積むためのゲートウェイとなることでしょう。

FMSPは、意欲ある学生の皆さんの参加により順調に進捗しています。今後も、プログラムをより魅力的なものにするために、私たちはさまざまな企画を準備していく所存です。

私たちは数学・数理科学に興味をもって、本プログラムに参加される学生の皆さんが、安心して研究に向かうための環境を整えるとともに、将来、幅広い分野で活躍されることを期待します。意欲あふれる皆さんの積極的な参加を歓迎致します。

2016年7月
河野 俊丈

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