数物フロンティア・リーディング大学院

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前総長からのメッセージ


総長
濱田 純一

時代は今、大きな変化の時を迎えています。その中で、大学や学問は、人類社会の持続的な発展に向けて、この変化をよりよい方向にリードしていく役割を果たすことを求められています。東京大学では、こうした社会からの期待に応えるべく、『東京大学の行動シナリオ-FOREST2015-』を作成し活動しております。

この行動シナリオの中で、「真の教養を備えたタフな学生」の育成を最重要のミッションとして掲げています。優れた人材が世界から東大に集い、切磋琢磨し、世界へ羽ばたいていくことを目標とします。このため特に大学院生への支援を充実させ、国際的な活躍と交流の場をいっそう拡大することによって、世界トップ水準の人材を育てたいと考えています。

この目標を達成するために、この博士課程教育リーディングプログラムを、東京大学における大学院の改革強化のための最重点事業と位置づけています。プログラムを支援するために、マネジメントと組織的支援を行う強力な体制を総長主導で整備することと致しました。このプログラムの二年目にあたる平成24年度には、東京大学から提案した3件のプログラムが採択されました。

この数物フロンティア・リーディング大学院は、その一つで、オンリーワン型として採択されました。数学は、さまざまな科学と技術をささえる基礎的な言語です。社会が複雑な様相を呈する現在、数学の諸科学への展開を見据えた、グローバルな視点をもったリーダーが求められています。数物フロンティア・リーディング大学院は、既存の分野の枠を超えた俯瞰力を涵養し、社会が直面する問題に対する、先端数理科学の貢献を促進する力を養う場として最適です。東京大学では、数理科学およびその周辺分野に関し、世界をリードする卓越した研究が多数行われています。また先進的な試みとして、企業との連携による大学院教育プログラムも進めており、産学連携による教育改革として実績を上げて参りました。本プログラムではこれらの蓄積を最大限に活用致します。この数物フロンティア・リーディング大学院を、同時に進める他の大学院教育プログラムとの連携融合のために活用し、東京大学全体の大学院改革を効果的に進めていきたいと考えています。

これらの大学院改革プログラムによって、創造性豊かな新しい学術を生みだし、さらにその知を活用する技を磨く場となる、新しい大学院を構築していきます。これによって、人類社会の持続的な発展を支えるリーダーを育成して行きます。そして、これが新しい大学院のモデルとして世界に波及していくことを期待しています。

東京大学は、このような活動によって、日本の未来、世界の未来に対する公共的な責任を果たして行きます。皆様方には、東京大学の教育と学術研究の活動にいっそうのご理解とご支援を賜りますよう、この機会に改めてお願い申し上げます。

2013年1月
濱田 純一